教室案内

教授ご挨拶

Professor
  • 「わからない、治療法ない、諦めない」時代から治る時代へ

    熊本大学神経内科学分野の教授に就任して5年の月日が流れた。発足時はわずか16名の医局員でスタートした教室であったが、今は50名を超える大所帯になっています。以下、項目に分けて、神経内科の現状をご披露させていただきます。

    熊本大学大学院生命科学研究部
    神経内科学分野
    教授 安東 由喜雄
  • 安東 由喜雄

研究力の更なる向上

熊本大学は文部科学省によって、3年前Research University 22(RU-22)に選ばれております。これは日本の大学の中から、研究で世界に情報発信をする大学ベスト22の大学が積極的に研究し、世界に情報発信するべきであるというメッセージに他なりません。薄給の中で大学にいる意義は、何といっても研究ができることであり、研究をして新たな疾患を発見する、新たな診断法の開発をする、新たな病態を解明する、新たな治療法の確立を行うなどの活動を通して、世界に情報発信することにあると信じます。幸い神経内科は昨年度70本を超える英文を出し、それぞれの研究分野で情報発信できていることは喜ばしいことですが、来年度に向け、よりハイレベルのジャーナルに採択されるよう指導していきたいと希っております。

診療力の向上

昨年度も県外の病院も含め数多くの新患の紹介をいただき、その数は年々確実に増えております。新規入院患者数もずっと右肩上がりの状況が続いており、かつて病院の収入という点では「スルー」されていた神経内科も病院執行部からお褒めいただく存在感の大きい診療科に変貌を遂げてまいりました。病院の方針として、新患の増加数、パス使用患者数、DPCII期以下での退院患者数などを指標に、27診療科でランクをつけ、インセンティブを与える制度が導入されておりますが、パス使用や短期入院などが不得意な神経内科にあって、皆で知恵を出し合い努力し、総合3位のご評価を頂き、昨年もインセンティブ助教2名をいただくことができました。高松病棟医長をはじめとする、診療にタッチしている医局員の努力の賜物であると考えております。

神経内科学会での活動

相変わらず全国の神経内科医局入局者は平均2-3人で日本神経学会員数も八千人台で頭打ちとなっております。一方で、熊本大学神経内科は入局者数を大きく増やしていることから、その実績を還元すべきとのことで、全国神経内科全体の入局者数を増やすミッションを背負い、神経内科学会卒前・初期研修教育委員会委員長を務め活動しております。昨年作成しました全国の様々なキャリアを持つ神経内科医が出演する入局勧誘のDVDは売れ行きも上々で神経内科の影のヒット商品になっているとのことです。ところで昨年度は一念発起し、神経学会理事選挙に出馬しました。31人の神経内科領域の著名な先生方が立候補されましたが、蓋を開けてみると沢山の票が集まり、7位と高位の当選となりました。同門の先生方のご支援の賜物と心から感謝申し上げます。高橋代表理事からは、災害対策委員長を拝命し、これまで行ってきた卒前・初期臨床研修教育委員会の委員長としての仕事と共に神経学会の活動を盛り上げていきたいと思います。

神経内科医局の課外活動

昨年度も、5月のスイカ割り、100人近い方々に参加いただいた夏の医局旅行(皆で長洲の海岸で行った地引網は最高でした)、火の国祭りのおてもやん総踊り、九大とのサッカー対抗戦、忘年会、餅つき、とイベントを随所に盛り込み、多くの方に喜んでいただきました。九大とのサッカーの対抗戦は11月に熊本で行いましたが、荒木名誉教授は熊本大学、九州大学両方でつながりが深いため、観戦に来ていただきました。今回は後半に守備が乱れ、2-2の引き分けでした。試合の後は一昨年同様、銭湯に行き、裸の付き合いをした後、楽しい交流会の場が持たれた。こうした活動に加えて昨年度も医局対抗サッカーが何試合かあり、教授が前・後半出場すると計2得点獲得するため、いい年ですが必死に出場しております。我が方の決定力不足は深刻で、未だ勝利を得るに至ってはいません。来年度はサッカーや野球ができる入局者を増やしたいと思っております。

ラジオの時間

2015年の10月からFM791で「映画と恋と遺伝子と」という30分番組を月に2回担当することになりました。私の好きな映画の紹介に始まり、関連したラブソングをかけ、神経難病を一つ一つ紹介していく構成にしていますが、評判は上々で、半年と思って始めた番組も、やがて1年になろうとしております。始めた頃は心に負担を抱え込んだような気持ちになり由鬱な時間が流れておりましたが、随分慣れてきて、月にたった1時間の収録ですが、日々の雑事から離れた異次元の時間が流れ、今は楽しみに変わってきました。

医学科長としての努力

医学科長(副医学部長)として二期目を迎えております。かつて国家試験の成績が悪い大学として、熊・鹿・長(くましかちょう:熊本大学、鹿児島大学、長崎大学)と揶揄されることを潔しとせず、学生と対話に務め、受験体制の整備に務めてまいりました。その結果、昨年度は全国80の医学部の中で14位、国立系大学では9位という嬉しい結果を得ました。この三年半様々な会議や、式典に駆り出され、学会活動や講演と合わせるとほとんど休日がないような時間が流れておりますが、「忙しいうちが花、きっといいことがある」と思って日々を送っております。

「アミロイドーシス診療体制構築事業」から「メディカルスタッフの人材を介して行う次世代型包括的神経難病診療体制の構築へ」

「アミロイドーシス診療体制構築事業」は、アミロイドーシスに関連した疾患のコンサルテーションを全国から受け付け、年間500件を超える依頼を北は北海道から南は沖縄に至るまで受け付けてきました。日本全国にこれほどアミロイドーシスに苦しむ患者さんがいて、診断すらなされていなかったことに改めて驚いています。本事業に対しこれまで「地域医療再生計画」の基金から大きなお金をいただいておりましたが、事業自体が平成27年度で終了するため、新たなプロジェクトとして、「メディカルスタッフの人材を介して行う次世代型包括的神経難病診療体制の構築」(山下太郎特任教授、高松孝太郎特任助教)を県の支援を受けて立ちあげることができました。実に神経内科に四つめの寄付講座ができたことになります。本事業は、これまでのアミロイドーシス診療体制構築事業をその中に組み込みながら、神経難病全体に視野を広げ、これに関わってくださる看護師、理学療法士、薬剤師などを育成していこうというものです。このプロジェクトが長く続くよう、鋭意努力していきたいと決意を新たにしております。

NPO法人「希望の森」の設立

大学病院や一部の地域中核病院には専門医もしくは経験豊富な医療スタッフがいる一方で、一部の地域では在宅医療に実際に携わるスタッフは神経難病の理解が乏しく、また経験も浅い場合が多く、地域の在宅専門医やメディカルスタッフにとって神経疾患診療へは参入しづらい状況が続いております。また、神経症状の進行とともに通院困難になった患者に対してのサポート体制が依然として十分に行き届いていないのが現状です。また居住地による医療格差も大きく、在宅医療の理念である患者の自宅での生活に沿った患者主体の医療サービスが損なわれている状況にあります。このような状況の元、大学神経内科では、昨年度NPO法人「希望の森」を設立いたしました。本年度から動き出しました熊本県の事業である「メディカルスタッフの人材育成を介して行う次世代型包括的神経難病診療体制の構築」と機関車の両輪となり、患者の支援や、医療を支えるメディカルスタッフの育成を行いながら、熊本県の神経難病患者がおかれた状況を少しでも好転するように頑張っていきたいと希っております。

夢を持った神経内科集団の育成

話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば、人は育たず(山本五十六)

最近つくづく思うことは、「放任主義では決して人は育たない」ということです。それでは厳しく管理すると大きなプロダクトができるのかと言うとそうでもなく、行きつくところは、「話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば、人は育たず」という山本五十六の言葉です。最終的には「任せて失敗を経験させて育てる」ということになる訳ですが、その前に若い人には、厳しさをもって接し、十分話し合い、納得してもらう作業が必要です。そのためには優しさと思いやりを胸に秘めながら「厳しからざるはこれ師の怠りなり」という言葉を旨として活動していきたいと思っておりますが、何より指導者としてまずは自分に厳しく、背筋を伸ばして神経内科の運営を行っていきたいと希っております。

教室の歴史

Classroom history

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Copyright© Department of Neurology, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University.