研究業績

脳梗塞再発高リスク患者を対象とした抗血小板薬併用療法の有効性及び安全性の検討 CSPS.com(シーエスピーエスドットコム)

受付番号/研究機関 ◆受付番号
先進 第1981号

◆研究期間
平成27年6月9日から平成30年3月31日まで
詳細

研究の目的・方法

【患者様の病気と治療法について】

本研究にご参加になる患者様の病気は、「脳梗塞」という病気です。この病気は脳に栄養・酸素などを送っている血管が詰って、そこから先に栄養・酸素が送られなくなって起こる病気です。

症状としては、麻痺、しびれ、歩行障害、めまい、ふらつき感、物忘れなどがあります。

脳梗塞を起こした血管以外の血管も詰りやすくなっていることが考えられ、この病気は再発する危険性のある病気です。

再発を予防するための治療として、生活習慣の改善、高血圧や糖尿病などの危険因子の管理とともに、血液を固まりにくくして血管が詰まることを防ぐ抗血小板療法が一般的に行われます。

薬剤としてはアスピリンやクロピドグレル、シロスタゾール(プレタールOD錠®)などがよく用いられています。

しかし、抗血小板薬を投与していても、脳梗塞は時間経過とともに、症状が進展したり、再発したりする可能性もあります。

 

【抗血小板薬を2剤合わせて用いることについて】

抗血小板薬の効果を高めるために、2種類の抗血小板薬を合わせて飲むことが、考えられます。

このうち脳梗塞や心筋梗塞の患者様にアスピリンとクロピドグレルを長期間併用すると、脳梗塞の予防効果は1剤だけの時とあまり変わらず、かえって脳出血や消化管からの出血などの出血性合併症が増えるため、長期間の併用は奨められていません。

一方、シロスタゾールとアスピリンの併用については、脳梗塞の患者様を対象とした複数の研究で、出血性合併症が増えないことが報告されています。

シロスタゾールとクロピドグレルの併用に関しては、足の末梢動脈疾患の患者様を対象とした試験で、併用によって出血の時間を増やさないことが確認され、同じ病気の患者様に対する長期併用治療の研究でも、出血性合併症は増えていないと報告されています。

 

以上より、私たちはシロスタゾールにもう一種類の抗血小板薬を加えた併用治療を行えば、患者様への安全性を損ねずに脳梗塞の再発を減らすことが出来るのではないかと、考えています。

この研究に参加していただいた場合は、つぎの2種類の治療法のうちどちらかの治療を受けていただきます。

どちらの治療を受けていただくかは、コンピュータを使った方法によって、無作為(むさくい)に決定されます。

この方法では、どちらの治療を受けていただくかは、担当医師にもあなたにもわかりませんし、選べません。

いずれの場合も患者様の状態をみて、担当医師の判断でお薬の量を変更する場合があります。

 

(ア)単剤療法

研究参加中、下記の薬剤の中から担当医師が患者様に適切と考えた1剤を服用します。

アスピリン:81mg または 100mg/日(1日1回)

クロピドグレル:50mg または 75mg/日(1日1回)

 

(イ)併用療法

研究参加中、単剤療法での2剤のうちいずれか1剤と、さらにシロスタゾール(プレタールOD錠®)を原則200 mg /日(1日2回)を服用します。

この研究に参加いただく時期により異なりますが、予定参加期間は最も短くて1年間です。なお、研究全体の期間が延長又は短縮され、参加期間が変る場合もあります。

この研究が終了した後も、担当医師は責任をもって患者様に最も適切と考える医療を提供いたします。

<診察、検査などの予定表>

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研究の対象となる方

患者様は、下記のいずれかに該当し、脳梗塞の再発リスクが高いと考えられます。

・頸部の動脈または頭蓋内の主幹動脈に50%以上の狭窄性病変を有する

・次のリスク因子のうち2つ以上を有する

年齢65歳以上、糖尿病、高血圧症、末梢動脈疾患、慢性腎臓病、脳梗塞の既往、虚血性心疾患の既往、喫煙(禁煙者は除く)従って、患者様はこの研究に参加いただきたい条件に適していると考え、ご協力をお願いしています。

また、もし研究への参加に同意いただいても、その後に行う検査等の結果で、あらかじめ定められた条件に当てはまらない場合には、この研究に参加していただけないこともあります。

 

研究に利用する資料・情報

治療前および治療中、治療終了後には以下の診察および検査等を受けていただきます。

① 患者様の背景情報の確認(年齢、性別、病歴、診断名、治療歴など)

② 服薬状況の確認

③ 血圧測定

④ 血液・尿検査

血液学的検査:白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数

血液生化学的検査:AST、ALT、TC、TG、HDL-C、クレアチニン、空腹時血糖、尿酸、HbA1c(糖尿病合併の場合のみ)

尿検査:糖、蛋白、潜血

⑤ 日常生活自立度の調査

⑥ 頭部MRI検査、頭部MRA検査、頚部動脈画像検査

⑦ 胸部レントゲン検査、心電図検査

⑧ 自他覚所見(有害事象)

 

研究機関の名称並びに研究機関の長および研究責任者の氏名

研究機関の名称:熊本大学大学院

研究機関の長:生命科学研究部長 西村泰治

研究責任者:神経内科 教授 安東由喜雄

 

研究に関する資料の入手・閲覧について

本研究の研究計画書及び研究の方法に関する資料を、入手又は閲覧することができます。

研究担当者までお問い合わせください。

 

個人情報の取り扱いについて

この研究に参加いただいた場合でも、患者様の診療情報は厳重に保護されます。

また、患者様の個人情報が外部に漏れることがないよう厳重に管理いたします。

この研究から得られた結果が、学会や医学雑誌などで公表されることがあります。

このような場合にも、患者様を特定できる個人情報が使われることはありません。

 

利益相反について

熊本大学では、より優れた医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。

そのための資金は、公的な資金以外に企業からの寄付(外部資金)や契約でまかなわれることもあります。

現代では医学研究の発展にとって、企業との連携は必要不可欠なもので、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。

一方で、産学連携を進めた場合、患者様の利益と研究者や企業の利益が相反(衝突)する状態が起こる可能性があります。

このような状態を「利益相反」と呼びます。

そのような状況では、臨床研究が企業の利益のためになされるのではないかとか、研究についての説明が公正に行われないのではないかといった疑問が、患者様や一般の方に生じることがあります。

そのためヘルシンキ宣言では、「臨床研究においては、被験者に対して、資金源や起こりうる利害の衝突(利益相反)について十分な説明がなされなければならない」と定めています。

これに対応して、熊本大学では、「熊本大学利益相反ポリシー」が定められました。本臨床研究はこれらの指針に基づいて実施されます。

具体的には、本臨床研究計画は、公益財団法人 循環器病研究振興財団の研究費でまかなわれます。

この財団は、大塚製薬株式会社から研究費の提供を受けていますが、本研究は費用の出資者とは無関係に公正に行われます。

本臨床研究に使用する医薬品【プレタール】は大塚製薬のものを使用します。

また、熊本大学は、本臨床研究の責任者が所属する神経内科学講座を名宛として、同社から寄附を受けています。

しかしながら、本臨床研究の利害関係の公正性については、熊本大学大学院生命科学研究部等臨床研究利益相反審査委員会の承認を得ており、当該研究経過を熊本大学生命科学研究部長へ報告すること等により、利害関係の公正性を保ちます。

 

お問い合わせ対応窓口

研究責任医師:中島 誠 神経内科

研究分担医師:植田明彦 神経内科

住所:熊本市中央区本荘1-1-1

電話番号:096-373-5893(夜間、休日 096-373-7021)

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